社内AI Agent開発ハッカソンレポート|半日で20名が挑んだ“動くAI”づくり

こんにちは。プレイドでエンジニアをしている、とさです。

今回は、2025年6月13日(金)に開催した、社内のAI Agent開発ハッカソンのレポートをお届けします。

1. はじめに

開催の背景と目的

現在プレイドでは、提供するプロダクト上にAI機能を組み込むためのプロジェクト進めていて、mastraを用いた開発環境の整備やPOC(概念実証)を通して、組み込みの方向性を模索しています。

このプロジェクトの一環として、私たちは「動くAI Agentを作る実践の場」として、社内ハッカソンを企画しました。

このイベントは、単なる開発コンテストではありません。

  • 技術の筋トレ: 最新のAI技術に触れ、実践的な開発スキルを磨く。
  • チーム横断開発の種まき: 部署の垣根を越えたコラボレーションを生み出し、組織全体の開発力を底上げする。

これらを同時に達成し、プロダクトへのAI組み込みの速度と質を向上させることが、私たちの大きな狙いです。

今回のAI Agent開発は、実際にAI機能開発でも利用されているプラットフォーム「mastra」上で行われました。参加者は普段の業務に近い本格的な環境で、実践的な開発に挑戦しました。

Why PLAID Japan builds agents on their Google Cloud infrastructure with Mastra

Mastra社の技術ブログでもプレイドのことを取り上げてくださいました。

イベントの概要

  • 日時: 2025年6月13日(金) 13:00 - 19:00
  • 場所: オフィス(芝生エリア)。
  • 参加者: エンジニアを中心に約20名。
  • 開発テーマ: プロダクトのAPIを活用した、便利なAI Agentを開発する。

半日という短い時間で、ローカル環境に「ミニマム」で「動く」AI Agentを開発することを目指しました。

2. 当日の様子

当日は、オフィス内の開放的な芝生エリアにメンバーが集結。午後1時のキックオフから開始しました。

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最初のアイデア出しでは、「どのような課題を解決しようか」「どのようなAgentが便利か」と、多くのチームが議論に苦戦している様子も見られました。しかし、そこからがエンジニアの腕の見せ所です。徐々にアイデアが固まると、各々が猛烈な勢いでコーディングに集中し始めました。

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真剣な表情でモニターに向かう姿、チームメンバーと活発に意見を交わす姿、そして時折見せる笑顔。限られた時間の中で、ものづくりを楽しむ参加者のエネルギーが会場全体に満ちていました。

さらに驚くべきは、今回のハッカソンには開発経験が必ずしも多くない新卒メンバーやカスタマーエンジニアも参加し、開発環境のセットアップから始めたにもかかわらず、発表までの短い時間で全員がAI Agentを完成させたことでした。これも、開発をサポートするAI Coding Agent自体の進化が後押しした結果と言えるでしょう。

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3. チームと成果物の紹介

夕方からは、いよいよ成果発表会です。短時間でAI Agentが次々と生み出されました。ここで参加者が作成したAI Agentたちをいくつかご紹介します。

実際に開発されたAI Agentの一例

  • クエリGUIの「ノード説明Agent」
  • 面倒な入力を一瞬で終わらせる「フォーム自動入力ツール」
  • クエリGUIの「エラー解説&ノード名提案Agent」
  • ローカルクラスタ用の「自然言語データ検索Agent」
  • 30分で実装した「記事要約&関連記事提示Agent」
  • 営業の強い味方となる「業界別・事例検索Agent」
  • 企業情報への「自動タグ付けAgent」(への道)

実際のプロダクトのローカル環境に組み込んでデモしてくれたチームもありました。

4. 参加者の声

イベント後、参加者から多くのフィードバックが寄せられました。その一部をご紹介します。

良かったこと・新たな発見

最も多くの参加者が口にしたのは、**「AI Coding Agentの発達の凄さ」と「チームで開発する楽しさ」**でした。「数時間でみんなが成果物を作れていた」「普段関わりのないメンバーと機能開発の面で交流できたのが貴重だった」といった声が上がりました。

また、「mastraやKARTEの中身も軽く知ることができ、KARTEそのものの理解も深まった」という副次的な効果を実感した参加者もいました。

改善点・今後の期待

一方で、**「アイデア出しの難しさ」**も浮き彫りになりました。「アイデアソンの前にmastraへの理解を深めていれば、もっと良いアイデアが出せたかも」といった声や、「まずmastraを触ってからアイデアを出す方がやりやすかった」という意見が多く聞かれました。中には、「事前にアイデア出しのフェーズを設け、アイデアを出す人と作る人が分かれて参加できる形式も良いのでは」といった具体的な提案もありました。

また、「KARTE上での実装を楽にしてくれるツールが欲しい」という声が多数寄せられました。特に、以下のような実践的な開発をサポートする機能への期待が高まっています。

  • 複雑な接客作成をサポートする、社内ナレッジを学習したエージェント
  • PdMやデザイナーが開発セットアップなしで簡単に動作確認できる環境
  • 本格導入に向けたエージェントの評価の仕組み

5. ハッカソンを終えて

最後に、参加者から寄せられた「今回感じたこと」が、今回のハッカソンのリアルな学びを象徴していたのでご紹介します。

  • Vibe codingの限界: 本当に知識がないと、投げるプロンプトが曖昧になり、痒い所に手が届かない。
  • Agent化の必要性: 今やっている作業は、本当にAgentにする必要があるのか、と作りながら考えさせられた。
  • AIとの対話の難しさ: なぜAIがWebサイトをしっかり調べにいかないのか、プロンプトが細かすぎるのかなど、AIの挙動をコントロールする難しさを感じた。

ツールを使えば誰でも簡単に作れるように見えて、実は深いドメイン知識やプロンプトエンジニアリングの技術が求められます。AI開発のリアルな手触り感を得られたことも、大きな収穫でした。

6. 謝辞

このハッカソンの成功は、参加者の皆さんの情熱と創造性、そして企画・運営に奔走してくださった運営・サポートメンバーの尽力のおかげです。

この場を借りて、イベントに関わったすべての方々に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

7. おわりに

今回のハッカソンは、社内に眠る技術力と創造性を再発見する、素晴らしい機会でした。半日という短い時間で、これだけ多様なAI Agentが生まれたことに驚きました。

そして、早くも第2回の開催が決定しました。次回は、より多くの職種のメンバーが参加できるよう「アイデアソン」形式での開催を予定しています。

このハッカソンをきっかけに生まれた熱量を、今後のプロダクト開発、そして組織全体の力へと繋げていきます。

今後のプレイドのプロダクトとAIの進化にご期待ください。